暗い話で失礼します
母親を殺害したと言う少年は、自分の居場所を作れずに苦しんでいたそうだ。尊属を殺害して平然とその遺体を切断したと言う少年に、一片の同情の余地すら必要ないが、あまりにも耳慣れた学校側の事後コメントにいい加減うんざりとする。非日常的で、尋常な精神状態からは生まれない残酷な事件を予知できなかった経緯は十分に窺い知る事が出来るし、未然に防げなかった残念な思いも理解できる。
実際に事件を起こした少年に対する弁護は要しないが、少年少女が自他を傷つける事件を通して、僕個人としては、子供たちが悪いと言う結論を導くことは出来ない。今も昔も、何かに苦しみながら必死に生きている子供たちは幾らでも存在するだろう。ただ、かつては、その先には希望があった。前向きに苦しみ、いつか、そこから抜け出すことが出来た。今はどうだろうか。苦しみの先には、もっと大きな苦しみが待っている。それが人生なのだと理解している子供と、絶望から抜け出す術を知らない子供たちと、怒りの矛先を間違えた極わずかな少年。
さて、自分の殻に閉じこもって一人で震えている子供を目の前にして、大人たちは、何を教えるべきなのだろうか。そう言うものなのだと諭すべきか、走り出す勇気を奮い起こしてあげればいいのか、自分の不安の大きさから他人に構っている余裕はないのか。その問題がまた、大人たちの苦しみを重くするのだろうが、その分だけ子供たちが幸せになれるのであれば、何ほどのことがあろうか。何かに苦しんでいる子供たちにとって、何よりも、一人ぼっちになることほど怖いことはない。助けを求めて突き出した手が、誰にも届かずに宙を浮いている姿を想像できるだろうか。
苦しんでいる子供たち。決して、戦わなくてもいい。自分が安心できるところまで、一目散に逃げ出しても構わない。きっと、一番奥まで戻ってみれば、誰かが手を貸してくれるだろうから。誰にも気付かれずに笑顔を装い、神経をすり減らしながら必死に生きる必要なんてないんだから。必死に生きているあなたが苦しまなければならないのは、決してあなたの責任ではない。それは、僕たち大人が傲慢な社会を作り出してしまったことが原因で、あなたの声に耳を貸さない大人がいるのであれば、どれだけでも非難して欲しい。ただ、もしあなたが立派に立ち直ってこの社会に踏み出すことが出来たのならば、願わくば、子供たちが自ら命を絶ち、母親を殺さなければならない国を作り変えて欲しい。それは、どん底まで苦しんだ人たちにしか出来ないことだから。
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